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vol.37|BROZERS’御茶の水店

2026.04.01

神田で味わう、オーストラリア仕込みのグルメバーガー

看板メニュー「ロットバーガー」。オージービーフのパティにベーコン、エッグ、パイナップルなどを重ねた1番人気。選べるソースとともに味わう、BROZERSʼ の象徴的な一皿

創業の地・人形町から神田へ受け継がれる「Z」の哲学

JR 御茶ノ水駅から坂を下り、太田姫稲荷神社の鎮座する交差点に出ると、右前に朱い壁が立ち上がる。2025年5月にオープンした「BROZERS’ 御茶の水店」だ。いまやグルメバーガーの代名詞とも言える同店だが、その原点は25年前、日本橋人形町の静かな公園の隣に遡る。

「店名の由来は、社長の北浦明雄が兄弟で始めたから『BROTHERS』。でも、綴りを『BROZERS’』としたのは、アルファベットの最後の文字である『Z』に、最後までやり通す、究極を目指すという不退転の決意を込めたからなんです」。

そう語るのは、御茶の水店の差配を振るう店長の田中良さんだ。北浦代表が22歳の時、オーストラリア・シドニー郊外のグリーブにある名店『ARCHIE’S』で修行し、その自由で遊び心溢れるハンバーガー文化を日本に持ち帰ったのがすべての始まりだった。日本では100円バーガーが全盛だった2000年に、1個1,000円を超えるハンバーガーを売ることは「異常」とも言われたが、職人の街・人形町に拠点を構え、日本独自の緻密なものづくりを融合させることで、BROZERS’は一躍グルメバーガーブームの火付け役となった。

いまや東京では、チェーンを含めれば1,000軒を超える店舗がハンバーガーを提供し、その中で専門性を打ち出すグルメバーガー店も数百軒規模にまで増えている。そんな激戦のなか、BROZERS’ が老舗としての地位を揺るぎないものにしているのは、創業時から変わらぬ「細部にこだわり、かつ大胆に作る」という職人魂が、この神田の地にも脈々と息づいているからに他ならない。

緻密に計算された「折りたたみ式」と、重なり合う「層」の芸術

アボカドチーズバーガー。折りたたんだレタスの食感と濃厚なアボカドが好相性。素材の重なりを楽しめる定番メニュー

ダイスオニオンをたっぷりのせたホットドッグ。サイドメニューとしても主役級の存在感を放つ

写真入りで各種のハンバーガーが並んだメニューの中で、ひと際輝いて見えたのが「アボカドチーズバーガー」。まずはこれをいただく。運ばれてきた瞬間、そのボリュームと、凛とした立ち姿に圧倒される。パティはオージービーフに国産の牛脂を絶妙な比率で配合したもので、一口噛めば濃厚なビーフの香ばしさが力強く主張してくる。これはもはやファストフードの範疇を超えた、立派な「牛肉料理」である。
アボカドとチェダーチーズの濃厚なコクを支えるのが、同店の代名詞であるレタスの「折りたたみ」だ。「うちはレタスの葉を1枚1枚、手作業で丁寧に折りたたんで中に詰めています。こうすることで、寝かせた野菜では出せない『シャキシャキ』とした鮮烈な弾力が生まれるんです」と店長は胸を張る。
続いて、看板メニューの「ロットバーガー」。「ロット(Lot)=たくさん」の名に相応しく、特製バンズの間には、バーベキューソース、目玉焼き、ベイクドパイナップル、ベーコン、チェダーチーズ2枚、パティ、オニオンスライス、トマトスライス、レタス、マヨネーズが整然と積まれている。愛でているだけで幸せな気分になるその層を大きく頬張ると、パイナップルの甘酸っぱさが肉の旨味を際立たせる。バンズは昭和元年創業の亀戸『グリムハウス三好屋』に特注するバター100% のもの。表面をパリッと香ばしく焼き上げ、具材の重みをしっかりと受け止める。さらに、ダイスオニオンがたっぷり乗ったグラマーな「ホットドッグ」もまた、メインを張れる満足感だ。アルコールメニューも充実しており、平日のランチタイムにはドリンクが特別価格で提供されるなど、ビジネス街のニーズを的確に捉えた運営が光る。

独立を支援する「経営の型」と、神田の夜を彩る社交場

BROZERSʼ には、他の飲食店とは決定的に異なる「人を育てる」文化がある。それは徹底した独立支援だ。「うちから独立して店を持った人間は、今や30名を超えています。神田須田町で2024年にオープンした『THE GRABBER hamburger pub』の店主も、ここで修行を積んだひとりなんです」と田中店長。
本来なら競合となるはずの独立を推奨するのは、「業界全体を盛り上げ、良い手本を示し、社会に貢献する」という北浦代表の揺るぎない経営理念があるからだ。そうした志を持った職人を世に送り出すことで、結果的に「グルメバーガー」という食文化が社会に深く根付き、市場そのものが拡大・定着すると確信しているのだ。個店が利益を独占するのではなく、質の高い専門店を増やすことで文化を盤石にする。この戦略が、25年に及ぶ同店の繁栄を支えている。
こうした職人たちの心意気は、夜のパーティーシーンでも存分に発揮される。4名から利用可能なパーティープランは、選べるバーガーに、オニオンリング、フレンチフライ、コールスロー、ピクルスといったサイドメニューが脇を固め、2時間の飲み放題もセットにできる。特筆すべきは、8名から予約可能な「通常サイズの約8倍」という特大バーガーだ。ケーキのようにカットして提供されるこの一皿は、社内の打ち上げや親睦会において最高のサプライズとなる。貸切は20名から対応しており、最大31名までの着席パーティーが可能。
田中店長もまた、いずれは自分の城を持つことを夢見て、この神田の地でパティを焼き続ける一人だ。「コロナ禍の厳しい時期でも、BROZERSʼ は過去最高売上を記録しました。それは、私たちが提供する1個のバーガーが、お客様にとっての信頼の証だったからだと信じています」。
オーストラリアで受けた刺激を人形町で研ぎ澄ませ、御茶の水の空の下で次世代へと繋いでいく。レタスを折り、パティを焼き、バンズを重ねる。その誠実な手仕事の積み重ねが、今日もまた、神田の街に新たな活力を与えている。

朱色の外観が印象的なBROZERSʼ 御茶の水店。創業の精神を受け継ぐ、新たな拠点

赤を基調とした BROZERSʼ 御茶の水店の店内。カウンターからテーブル席まで備え、ランチからパーティー利用まで幅広く対応する

御茶の水店を率いる田中店長(右)とスタッフの新城邦也さん。創業以来の「Z」の精神を受け継ぎ、日々パティを焼き続ける

レポート◎山根和明(広報委員会)

食いしん坊手帖 vol.37

BROZERS’ 御茶の水店

東京都千代田区神田小川町3-28-7-102
電話:03-6260-5801

  • 営業時間:11:00〜21:30(L.O.21:00)
  • 定休日:不定休
  • 席数:約30席
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