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コンクジュースの草分け、クエン酸飲料が大ブレーク

スター食品工業株式会社




三代目社長(現会長)森田禮治さん(左)と四代目社長の森田晃生さん。常務は神田法人会現青年部会長の森田修平さん。



3年前に竣工した12階建ての本社ビル。

 「お疲れさんにクエン酸!」。なかなかうまいキャッチフレーズだが、これがそのまま商品名というから驚きだ。現代人が気にしている、血液サラサラ、ダイエット、肝臓の疲労などに効くという「クエン酸」に着目したことに、時代を見る目の確かさが感じられる。ラムネに始まる清涼飲料分野で100余年、老舗企業の歩みと心意気をうかがう。

─ご創業が明治31年、初代はどんな方?

 森田慶蔵といって千葉船橋市の生まれで三男坊、まず当時の大都市横浜に出てラムネに出会う。これでいこうと考えた。それで神田の今川小路(いまの九段下)に店を構えた。ラムネと氷種(蜜に着色したカキ氷用シロップのルーツ)を商った。牛鍋屋もやっており、当時いまの武道館辺りにあった近衛連隊と接点ができ、ここに納めるようになった。業務拡張のため現在地に移ったのが昭和7年、古い写真にあるように、戦前はずっと森田飲料製造所。シロップ類、ソーダ水が中心でした。

─社名がスター食品工業に変わるのは戦後すぐ。

 商社マンだった森田仙蔵が二代目として初代の仕事を近代化して昭和22年には株式会社にしています。米国から入ってきたバヤリースオレンジに触発されて、すぐに「スターハワイアンオレンジエード」を発売する。これは戦後の国産壜入りジュースの第一号です。そして昭和26年にはコンク(稀釈用)ジュースを初めて製品化しました。いまでは一般的な壜の削減ができ、回収、貯蔵、運搬の問題を一拠に解決した。PETボトルを初めて採用したのも当社です。

─そうした斬新な発想と、それを実現してきた技術力は
 伝統のようなものですか。


 代々新しもの好き。コンクジュースでは糖液と果汁が分離せず、いかにうまく混濁させるかで工夫した。いまもそう、肌に塗って効くヒアルロン酸なら飲んだ方が効果があるのでは、そこで「飲むヒアルロン酸!」。思い付くのが初代からの遺伝子(笑)、実現させるのが技術力。初代から確実に受け継がれています。
─すでに創業100周年を超えて、バトンがうまく渡っている
 印象ですが。


 初代も二代も男子は1人だけ、子供の頃から祖父や父に昔の頃からの話をイヤという程聞かされてきた。私たち3人兄弟もそう、職人さんたちが手にタコをつくって技を伝承しているように、耳にタコができるほど父の話を聞いてきて、やっと3人とも経営のニュアンスが染み付いた。昔話を聞くのがいやでは会社の跡継ぎなどはできないと思います。もちろん私の次も弟たちに任せます、2人とも大きな耳ダコがありますよ(笑い)。

─「クエン酸飲料」がかなり好調のようです。

 昔から、酸っぱいものは健康にいいとされてきましたし、健康は誰しも強く願うことです。魚臭くないDHA(ドコサヘキサエン酸)オイルの食品への応用などこれからも伝統に裏打ちされた新しい製品開発を進めていきます。


昭和7年頃の社屋。



現在の製品群。クエン酸飲料を中心に。

会 社 名スター食品工業 株式会社(創業1898年)
住  所東京都 千代田区 一ツ橋2-5-3
電  話03-3230-3456
事業内容 クエン酸飲料、健康飲料、稀釈用果実飲料、コンクエード等の
製造販売

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