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経営者のための法律相談

第31回 就業規則見直しのポイント

就業規則は作成しているものの、実際は機能していない。このような企業 は少なくありません。
企業の実情に応じた就業時間、賃金など職場のルールを定め、それを守ることで労働者が安心して働ける環境を作ることは、労使間のトラブルを未然に防ぐことになりますし、また効率的な事業経営に必要不可欠といえます。しかし、作成した就業規則は労使ともに守らなければならないものでもありますが、それに対して、最近問題とされることの多い就業規則の周知義務及び時間外労働の問題を説明します。

1. 就業規則作成の必要性

 企業において「常時10人以上の労働者を使用する事業場」は就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければなりません。この義務違反は、30万円以下の罰則が課されます。
 常時10人以上の「労働者」には、正社員のみならずパート社員やアルバイトなども含まれます。
 また、就業規則は「事業場」ごとに作成・届け出なければなりませんので、留意する必要があります。この事業とは、主として場所を基準に決定され、同一場所にあるものは原則として分割することなく一個の事業、場所的に分散しているのは原則として別個の事業とされています。
 ただし、営業所から歩いて2、3分の場所に作業場がある場合に、作業場が営業所と一体で一つの事業なら、一つの事業場とされるケースもあります。事業場独立性の判断は、個別の事案によりますので、ご不明な点がある場合には、専門家に確認しましょう。

2. 就業規則の周知義務

就業規則は、労働者へ周知する義務があります。これは就業規則が個々の労働契約に拘束力があるため、労働者にその内容を知らせる必要があるからです。
判例では、「法的規範としての性質を有する・・ものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する」として、周知義務が就業規則の効力発生の要件であることを明示しています。せっかく就業規則を作成しても、労働者に周知されていないものは効力がありません。
周知方法としては、以下の3つの方法が定められています。

  1. 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること
  2. 書面を労働者に交付すること
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること(パソコンなどで確認できる方法。)
    就業規則の変更等があった場合も、当該変更には労働者の代表者の同意がいるとともに、周知されなければなりません。

3. 賃金

近年は、社会的に長時間労働抑制の動きとともに、未払賃金の問題も問題化されています。少なくとも就業規則、法律及び労使協定に反してはいけません。特に平成22年4月に、時間外労働の削減等に関して労働基準法が一部改正されました(詳しくは厚生労働省のサイトをご確認ください。)ので、これらの改正に対応している必要があります。
 また、フレックスタイム制等の変形労働時間制では、その算定方法に問題があり未払賃金が発生することもあるので、注意する必要があります。

4. 最後に

冒頭で述べたとおり就業規則は、事業経営において重要な役割を果たしています。
各企業の実情に応じた就業規則を作成されることをおすすめしますので、適宜弁護士等にご相談ください

法人なかま 2011年10月号掲載