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経営者のための法律相談

第4回 中小企業とM&A その2

4, 企業の状態の診断

〜企業の状況により方法が異なる〜
M&Aの企業間の必要性には違いがあるが、その違いに応じたM&Aが考えられることとなります。そして、そのM&Aの方法論も売却側の会社の状態により異なります。

㈰企業は一定の利益を出しているが、経営者としての後継者を探せない状況にある場合
この例が多いと思いますが、会社ごと売却しても一定の売却益が出せることとなります。しかし経営者が事実上不在などという状況では、営業はできているが収益率は序々に悪化し、このままでは倒産してしまうでしょう。このような場合、よい経営者の出現を期待している状態と考えます。
  • 現在、企業全体では赤字になっているが、ある程度の売上はあり、また得意先も確保されている。しかし今すぐ倒産してもおかしくない状態の場合
    赤字の額によっては、そのまま企業全体を買い取る額により赤字を補填し、経営者が個人保証等している場合もその負担をしないで済むという場合であれば、その赤字補填額を買取額から差し引くことにより解決することもあり得ます。赤字額が大きく買取額では補填できない赤字がある場合は、赤字の問題を除外するために、事業だけを営業譲渡するということも考えられます。その事業については、赤字部分は移転しないのですから、事業の魅力があれば、その部分を高額で売却することもあり得ます。
  • 事業は続いているが、営業赤字続きで事実上倒産状態となっている。今までの資産を食いつぶして経営をしている状態
    この場合も営業譲渡であれば、赤字を引き継ぐわけではないので、事業を金銭的に評価することができます。ただ、その企業自体の免許等が事業継続に必要な場合は、その企業自体を売却する他はない場合があります。この様な場合は、企業を全体として売却するために、民事再生等の法的な手続により、赤字部分を法的に縮小する手続を進めながら企業全体を売却することができます。このような企業価値のマイナス部分を除去する手続を利用して、会社又は会社の事業を売却するという方法があります。

5, 一般的な手続

通常の手続の場合は、次の通りで進行します。これらは全て法的な判断が必要ですから、どの場面でも必ず自分が依頼する弁護士を付けるべきです。よくM&Aの仲介会社がいるから大丈夫と聞きますが、間違いを犯さないためには、この様な手続きに慣れた弁護士の助力が必ず必要だということは覚えておくべきです。慣れた弁護士を依頼しなかったために合意が守られていないという例は多々あります。

  • 当事社間でM&Aの手続をするためにその作業を確認する契約が必要となります。企業の秘密を含めて内容を開示するわ けですから、その秘密保持条項を入れる必要もあります。更に、M&Aの交渉をその当事者間での交渉しかしないなどの 条項を入れることもあります。
  • デューデリジェンス※の実行として、通常は大きく分けて法務関係、会計関係、事業計画設計のための資料検討、監査等 が行われます。この結果を基として、M&Aを実行するしないの結論とその評価金額の査定がなされることとなります。
     この法務関係は弁護士に、会計関係は公認会計士に、事業計画設計関係は決まっていれば買主側のその後の担当者に任せるべきです。
  • M&Aの本契約の締結
  • 締結した契約に従った実行手続の履行

※デューデリジェンス…投資やM&Aなどの取引に際して行われる対象企業についての調査活動

法人なかま 2009年5月号掲載