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出版文化の流通ひと筋、本の町、活性化に取組む

神保町 三省堂書店




新しい「本屋」の在り方を探る、
石田常務(右)と茂木室長。





昭和56年竣工した本店ビル。


 とんでもない勘違いだった。三省堂といえば“辞書”。この超有名な出版社が書店を展開しているのだと思い込んでいた。ところが、ルーツは書店で出版社は後に分離独立した兄弟会社だった。本の町神田神保町で120年余の歴史を刻んだ三省堂書店。この伝統の上に、新しい時代の「書店像」を探り続ける。地域の活性化という大テーマをも抱えて。

─ご創業が明治14年、初代はどんな方でしょうか。

 西暦で1881年。本店を始め全国の電話番号も、なるべく1881にしています。今年で創業125年ですが、老舗といってもまだまだ“ひよっこ”です。初代は亀井忠一。先祖は旗本で明治大学のタワーの辺りに屋敷があったらしい。現在地で古書籍の販売から始めて、程なく新刊書店に。明治16年には出版事業も始め、英和袖珍辞書、百科事典も日本で始めて出しています。出版・印刷部門は大正4年に書店から分離独立した。現在の社長亀井忠雄は四代目です。

─三省堂という社名の由来を教えて下さい。

 論語の曽子の言葉からいただいたもの。「吾れ日に三たび吾が身を省みる。人の為めに謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか…」。なかなか実行は難しく、日々三省、私自身いつも反省している有様です。
─書店としてはかなりユニークなご商売をされたとか。

 昭和の初期、ここは学生の町でしたから、自社ブランド「ブックマン」というのを作って、書籍・文房具はもちろん衣類、日用雑貨、スキー道具などを揃えた「学生のデパート」。大学の徽章入り浴衣まで。包装紙も徽章入りでした。食堂のカレーなどの洋食は評判で、モダンで目新しい書店が大いに人気を博したということです。

─常に新しいビジネススタイルを追い求めてこられた。

 チェーン展開は昭和39年の自由が丘店に始まり、現在全国に40店舗。カフェ付きの店も初めて作り、著者のサイン会も当社が草分けです。ネット販売も増えていますが、本当の本好きは手に取って選ぶもの。ゆっくりと楽しめる環境を作ることに力を入れています。本が主役で売り場が劇場だとしたら、従業員は演出家。ベストセラーも店員の思い入れで生まれることもあるのですから。

─書店経営の難しさと今後の課題について。

 本店の1階から6階までのフロアに約35万点120万冊。本というのは典型的な多品種少量生産の商品です。売り場面積は大型化していますが、これには限界がある。いかに効率よく品揃えするかが大きな課題です。それと万引き対策。これも半端な数じゃないのです。この町も様変わりして、学生もめっきり少なくなりました。ブックタウン神保町の活性化のために、大手書店と大小190余の古書店がタイアップして、在庫情報を開示してネットワークを組む新しい書籍検索システムを考えています。神保町に行けば必ずお目当ての本が見つかる、そんな仕組みを作りたいですね。



昭和12年頃、すずらん通り側から見た三省堂書店。





大正14年頃の店内と着物姿の従業員。
会 社 名株式会社 三省堂 さんせいどう 書店(創業1881年)
住  所東京都 千代田区 神田神保町1-1
電  話03-3295-1881
事業内容和洋書籍・雑誌、文房具、語学教育機器等の販売、
ネットショッピングの運営

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