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箸に宿る日本文化のこころ、本物にこだわり、世界へ。

宮内庁御用 箸勝本店




山本社長は空手道範士九段の称号をもつ





箸勝本店の店頭。暖簾をくぐると心地よい木のかおり





杉、檜など上質の素材、彩り豊かな包装。


 さあ食べようという時、割箸が変な割れ方をすると気分が悪い。コンビニ弁当や駅弁の粗悪な箸に辟易して、自分専用の箸をいつも持ち歩いている人もいるらしい。「一期一会。この食事は一生に一度。ぜひ、いいお箸でおいしく食べていただきたい」という山本社長。武道家(空手道)の一人として、日本の食文化の要である箸の衰退は、日本の精神そのものの喪失、と危惧しているのだ。

─このお名前はご本名ですか?

 ええ。当主は代々商売を司る「利」が入る利右衛門。兄に家業を継がせ、次男の私は、軍人にするつもりだったのでしょう。「權」というのは御所を警護する「武」を司る意味らしい。

─この地での商いが明治40年頃ということで、それ以前は。

 奈良県吉野地方の庄屋で、先祖は南北朝時代、後醍醐天皇に従ってきた武士だという話です。祖父の代になって豊富な木材資源の端材を活かして割箸をつくり、京都、大坂方面への商いを始めた。私の兄で二十五代目。東京へ進出したのが明治43年、これを創業とすると祖父、父、兄とかぞえて、私が四代目ということです。

─日本の古武道、空手道の師範もされている。

 中学の頃からですからかれこれ50年。若い頃はアメリカの大学へ指導のために2年間、その後も各国で教えました。今も道場で子供や若者たちを鍛えています。

─日本の伝統文化という意味では、箸と共通点があるように思えます。

 日常何気無く手にしている箸ですが、本来、神と人の間を仲介する神聖な道具として、日本独自の発展を遂げてきたものなのです。いろいろな儀式に欠かせないもの、神に供えた物のおすそわけをいただく時の道具。一般に普及するのは江戸時代。繰り返し使える竹の箸がほとんどで、使い捨ての割箸は日本人の美意識から生まれた高級品でした。
─その割箸が資源の問題で「目の敵」になりました。

 あれは全くの誤解で、その消費量は他の産業に比較したら微々たるもの。国産品は建築端材を活用するのだし、資源のリサイクルにも役立つ。いま年間数百億膳の割箸の7割強が中国産です。コスト優先の風潮で、みなこちらに飛び付く。安かろう悪かろう、日本独自の箸文化にとって実に嘆かわしいことといえます。

─その逆風に立ち向かっていくためには。

 素材は断固いいものにこだわる。お客様の選択肢を増やすため新製品をどんどん出す。徹底した市場調査をする。着物柄や千代紙など日本の伝統デザインを包装に活用し、客人箸(まろうどばし)など名称も考える。箸の文化について解説文を添えて啓蒙をはかっています。

─かなり古くから宮内庁の御用を。

 縁があって昭和25年から。陛下が日常お使いになる、柳の細くて軽い白木箸からご旅行用の箸、そして、各宮家がお使いになるものまで、お納めしています。



200種類以上日本一の品揃えを誇る





平成2年、今上天皇の大嘗祭神饌用具一式も製作、宮内庁に納めた
─家訓のようなものがおありですか。

 父が目標に掲げていた「正商」の精神。いま当たり前のことが当たり前でなくなっている世の中、いい物を正しく売る、そしてビジネスに責任を持つ。これは譲れない基本です。
会 社 名株式会社 箸勝 はしかつ 本店(創業1910年)
住  所東京都 千代田区 外神田3-1-15
電  話03-3251-0840
事業内容高級割箸の製造販売

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