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いい素材を選びぬき、四季の味に心こめて。

味の和菓子 神田 亀澤堂




「人に薦めたくなる美味しさ
を」と四代目、帆刈さん





この地で100年、和菓子を作り続ける「亀澤堂」
 店頭でこんなやりとりを見聞した。器に二つだけ残る豆大福を見て、客は「もうこれだけですか?」。「もう一足早くお見えになれば」。「それじゃまたこの次にします」。客は残念そうに帰っていく。女優の水野真紀さんがいくつかの雑誌で紹介したこともあって、この店の人気商品の一つになった。毎日個数限定のため電話予約が必要という。いい素材と「生」にこだわる老舗の心意気を伺う。

─今年がちょうどご創業100周年。

 埼玉の方で菓子職人をしていた「辰五郎」が上京して、神田のこの地で亀澤堂を創業したのが明治38年。これが初代です。日本人の生活と風習に根付いた、季節ごとの和生菓子をもっと気軽に楽しんでもらいたいという考え方が強かったようです。つまり、さくら餅、くさ餅、かしわ餅、水羊羹など。当時はこういった菓子しかなかったと思われます。大正から戦前まではかなり繁盛したらしく、何軒ものれん分けしたという話です。

─その創業者の精神が受け継がれている。

 基本はまったく変わっていません。朝生菓子、朝作ってその日のうちに食べていただく。決して翌日に残さない。当然、添加物などはいっさい使わない。それと、米から小豆、砂糖まで、最良の素材を選び抜いていること。これにはかなりこだわりを持っています。

─その素材について、もう少し詳しく。

 豆大福は一般に使われている赤えんどう豆ではなく、当店独自の見た目にも綺麗な大豆を使っています。北海道産の「鶴娘大豆」。餅米は宮城県産の「みやこがね米」。あんは北海道産の「減農薬特別栽培小豆」。砂糖はどの菓子も共通で、国産の上白糖と不純物が少なく小豆の味を引き出してくれる「鬼双糖」を使い分けています。さわやかな甘さの秘密です。

─この豆大福は比較的新しい商品ですか?

 本格的に始めたのは10年ほど前からです。昔は節分の頃の季節限定で評判が良かったらしい。私が長男の宿命で四代目を継いだのが20年前。学校を出てすぐ。修業にも出ず、見様見真似で菓子づくりを始めました。自分なりに研究はしてきたつもりです。

─いろいろご苦労もおありかと。

 人も店の規模も状況に合わせてやってきた。まあ、のれん分けしたほどの時代もあったけど、基本的にはいいものを地道に細々とやってきた、ということでしょうか。毎朝、大福なら餅米を搗くことから、どらやきならこれも毎朝皮の手焼きから。その繰り返しです。材料の方は大手の問屋まかせで安定しているし、値段が変動するものは小豆と米。商品の値に反映させる訳にもいかないし、上がったときは「我慢の年」とあきらめる。



目玉商品は豆大福と神田どらやき





三代目会長の帆刈 弘さん(写真左)も元気に店頭に立つ
─100周年を記念して何かお考えのことは。

 この秋にでも、生の栗をたっぷり使ったまんじゅうとか羊羮といった、記念の限定商品を作ってみようかと。お好きな方はどうぞ楽しみにしてください。
会 社 名有限会社 亀澤堂 かめざわどう(創業1905年)
住  所東京都 千代田区 神田神保町1-12-1
電  話03-3291-1055
事業内容各種生和菓子の製造販売

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