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ファンを増やすために 智恵をしぼる気鋭の七代目

和洋御菓子 松屋




代表取締役 西井伸樹さん





季節の“生和菓子”
 東京で4番目に古い和菓子屋さんだというのに、この七代目主人には守りの姿勢がまったくない。パソコンやプリンターを駆使して、和菓子の新しい売り方を開拓。これが好評という。伝統を守りながら、新しい時代の和菓子ファンを拡げるために、業界あげて取り組むべきと、その先頭に立って活動している。

─創業が明和六年(1769)、ほぼ江戸の中頃。

 皇居の常盤橋門に近い日本橋本石町。初代は伊勢出身の和菓子職人で、さる大名に見込まれてここに御屋敷御用の店を出した。現在の地に移ったのが明治27年です。当初から茶の湯に使う上和菓子。現在でも、扱う商品の種類は増えましたが、生和菓子が6割ほどで、ずっと変わらない主力商品です。

─その伝統の味を守るために、かたくなに変えないことは何でしょうか。

 機械は使わず、すべて手づくり。添加物も一切使わない。だからうちの生和菓子は日もちしません。魚や肉と同じなんです。一番困るのは「どのくらいもちますか」と聞かれること。本物の糯米(もちごめ)を使った大福は翌日には固くなる。今は日もちする、固くならない、が常識になってますけど。それと材料の吟味。歴史のある和菓子の一つ「松最中」に使う小豆は昔から北海道産だけ。砂糖も上質のを何種類か、つくる菓子によって使い分けます。

─この看板に「和洋御菓子」とあるのは?

 それまで生和菓子一本でやってきたのですが、明治の頃、カステラを使った「どら焼き」を始めた。その頃はこれが洋菓子でした。中にあんこが入っていても。それと戦後すぐに始めた「千代田」という新商品。バタークリーム、あんずジャムなどをサンドしています。やはりベースは同じでも、消費者のニーズに合わせて商品は少しずつ変わっています。

─この「お客様オリジナル包装菓子」とは。

 焼菓子などの日もちをよくするため、「脱酸素材」を使った技術が開発されまして、一個一個の包装に独自のデザインをする。極端な話、一個からでもご注文に応じています。印刷だとコストが大変。もう八年になります。始めはプリントごっこを使いましたが、今はスキャナーでパソコンに取り込み、プリンターで印刷しています。いろんなイベントや、なかには名刺を刷ってセールスに役立てたり、なかなか好評です。

─アイデアですね。待ちでなく攻めの姿勢。

 同業組合の青年部の役員をしてまして、老舗同士でも仲がいいんです。それでこれまで和菓子が使われなかった分野にどんどん出ていこうと話し合っています。例えば御年賀のタオルの代わり、幼稚園にはドラ焼のメダル、和菓子のバースデーケーキ。そんなものがあってもいいと思うんです。それが和菓子のファンを増やし、全体の底上げができれば。そして、将来的にはお茶や畳など、日本文化に関わる者同士のタイアップにまで発展すればいいな、と。



歴史を物語る明治時代の看板





オリジナル包装がうけている
─ところで、松屋さんの八代目は?

 いま高校生なんですが、少しずつ洗脳して(笑い)、将来は必ず継がせるつもりです。
会 社 名有限会社 松屋 まつや(創業1769年)
住  所東京都 千代田区 神田松永町1番地
電  話03-3251-1234
事業内容各種生和菓子、各種焼菓子など

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