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経営者のための法律相談

第32回 遺 言 1

1. 遺言

相続人となるべき者やその順序・割合は、民法に定められていますが、遺言をすることによって法定相続人ではない者に遺贈したり、法定の割合とは異なる割合で相続をさせることができます。そして遺言には、親族間の無用な争いを避けるだけでなく、事業の円滑な承継や相続税対策などにとっても重要な役割を果たすことがあります。そこで、今回は、この遺言制度について述べてみたいと思います。

2. 遺言の方法

相続人となるべき者やその順序・割合は、民法に定められていますが、遺言をすることによって法定相続人ではない者に遺贈したり、法定の割合とは異なる割合で相続をさせることができます。そして遺言には、親族間の無用な争いを避けるだけでなく、事業の円滑な承継や相続税対策などにとっても重要な役割を果たすことがあります。そこで、今回は、この遺言制度について述べてみたいと思います。

  1. 自筆証書遺言
     自筆証書遺言とは、文字通り、自筆で書かれた遺言のことです。その全文を自筆で書いた上で、作成した日付と氏名を自書し、押印をする必要があります(民法968条)。
     遺言者が自分の意思で書いたものであることをはっきりさせるために「自書」しなければならないとされているものですから、手が震えるために他人に手を添えて貰ったという程度なら有効とされますが、他人が手をとって勝手に書いたのだとすると遺言書自体が無効とされてしまいます。
     また押印は、三文判や拇印でも構わないとされています。
     日付は、他の遺言との先後関係を明らかにするために必要とされているものですから、これを欠くと無効になってしまいます。そして日付が特定できるのであれば必ずしも何月何日まで書く必要はないのですが、「平成22年10月吉日」といった書き方では、日付が特定できないために無効とされてしまいます。
  2.  しかし、逆に言いますと、これらの方式さえ守れば、一番簡単に遺言を作成することができる方法といえます。
  3. 公正証書遺言
     公正証書遺言は、公証人が作成する公正証書による遺言です。遺言者が公証人の面前で、証人2人の立会のもと、遺言の趣旨を口頭で述べ、公証人がこれを筆記した上で、遺言者と証人に読み聞かせて、筆記が正確であることを承認したのちに、遺言者と証人2人がそれぞれ署名押印することによって作成します。このため、一般的には遺言者が公証役場に証人2人と一緒に赴いて作成することになります。
     このように聞くと、手続きがやっかいだなと思うかもしれませんが、公証人という専門家が立会って作成されますので、相談をしながら作成することができる点で安心といえるでしょう。また、将来的に問題が発生する可能性が低いともいえます。そのため、近時はよく利用されていると言われています。
     さらに公正証書遺言の場合、遺言執行の段階で手続きがスムーズに進むことが多いと言われます。他の遺言方式とは異なり、裁判所の検認も不要となりますし(裁判所の検認については後で触れます。)、銀行口座の名義変更などでも、他の方式よりも簡単に進められるなど、多くの利点があるといえ、お薦めの方法といえるでしょう。
  4. 秘密証書遺言
     秘密証書遺言は、内容を秘密にして遺言書を保管することができる方式の遺言です。公正証書遺言が公証人や証人に対して、その内容を明らかにしなければならないのに対し、秘密証書遺言では遺言書の内容を知られることはありませんので、どうしても遺言の内容を秘密にしておきたいという場合に取られる方法です。
     具体的には、遺言者が遺言書に署名押印をした上で封入し、遺言書に押印したものと同じ印章で封印をする、そしてその封書を公証人と証人2人の前で提出し、自分の遺言書であることと氏名住所を申述した後、公証人が提出日と遺言者の申述を封紙に記載し、そこに遺言者と証人とが署名押印する、という方法によることになります。
     このように手続きが複雑なこともあってか、あまり使われていないとも言われています。
     ここまで遺言の方式についてお話をしてきましたが、次回は、遺言の執行についてお話をしたいと思います。
法人なかま 2011年11月号掲載