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経営者のための法律相談

第27回 災害時における借地人・借家人の保護

罹災都市法の意義

 東日本大震災のような大きな災害に見舞われた場合、混乱を防止し、人々の生活の安定を図るために、特別の法律が適用されることがあります。そのひとつが、今回取り上げる罹災都市借地借家臨時処理法(以下、「罹災都市法」といいます。)です。罹災都市法は、被災地の借地借家関係に、民法や借地借家法と異なる臨時の処理をすることを定めた法律です。つまり、被災地の借地人や借家人は、通常時より厚く保護されることになるのです。会社の経営をめぐっては、さまざまな場面で借地や借家の問題が生じますが、被災地ではこのような特別な扱いがされる場合があることも覚えておかれるとよいでしょう。

適用されるためには

 法務省は東日本大震災の被災地に罹災都市法を適用することを決めましたが、実際に適用されるためには、内閣が政令によって、対象となる地区を定める必要があります(たとえば、阪神淡路大震災においては、大阪府と兵庫県の33市町村が適用地区となりました)。ある地区に罹災都市法が適用されると、その地区の借地人・借家人には、次のような扱いがなされます。

借地人と借家人の保護

まず、借地上の建物が滅失してしまった借地人の場合です。

  1. 通常であれば、地主が土地を売り、新たな地主から土地を明け渡せと言われれば、借地人は出て行かなくてはなりません。しかし、罹災都市法が適用されると、借地人は5年間、新たな地主に対しても借地権を主張することができ、出て行く必要はありません。
  2. たとえば、借地契約があと1年で終わるというときに地震が起こり、建物が滅失したとしても、罹災都市法が適用されると、借地権の期間は10年間に延長されます。ですから、被災地では借地人は借地上にもう一度建物を建て、10年間利用することができることになります。10年後は借地借家法が適用され、地主は正当な事由がなければ、更新を拒絶することができません。

次に、借家が滅失してしまった借家人の場合です。

  1. 罹災都市法が適用されると、借家人は2年以内に建物の敷地の地主に申し出ることにより、優先的にその敷地を借りることができます(法律で定められた条件をみたす必要があります)。また同様に、2年以内に敷地の借地人に申し出ることにより、優先的にその借地人の借地権を譲り受けることもできます。
  2. 借家人は、建物が滅失した後、同じ敷地に建てられた建物を優先的に借りることができます。

このように、罹災都市法は、借地人または借家人の建物が「滅失」した場合にのみ適用されます。滅失とは、建物の主要な部分が失われ、そのままでは賃貸借の目的が達成されない程度に達している状態をいいます。震災により被害を受けた建物が滅失まで至らない場合には、罹災都市法は適用されませんが、民法の定めによって、借家人は家主に対し、修繕を求めることができます。

法人なかま 2011年6月号掲載