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経営者のための法律相談

第18回 偽装請負について

1、偽装請負とは何か

 テレビのニュースなどで「偽装請負」という言葉を聞くことがあります。「偽装請負」とは、形式的には注文主と請負人が存在し、労働者は請負人の従業員として請負人の指揮命令下で働く形態になっているにもかかわらず、実態としては、労働者が注文主の指揮命令下で働く形態になっているものをいいます。

2、偽装請負の問題点

「偽装請負」は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(以下「労働者派遣法」といいます。)による様々な規制をかいくぐる意図で行われるものです。しかし、最近、そのような意図がなくても「偽装請負」であるという指摘が所轄の労働局からなされる場合があるようです。これは労働者派遣法が適用される労働者派遣と、労働者派遣法が適用されない請負との区別の基準が正しく理解されていないために生じる問題です。
 そもそも、労働者派遣、請負のどちらに該当するのかは、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」という昭和61年に旧労働省告示の基準が役に立ちます。
 請負と認められるためには、①自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用すること(直接利用性)と、②請負契約により請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理すること(独立性)の2点を満たす必要があります。①の直接利用性が認められるためには、業務の遂行に関する指示等を請け負った者が自ら行うこと、労働時間等に関する指示等を請け負った者が自ら行うこと、企業秩序維持確保のための指示等を請け負った者が自ら行うことが必要です。また、②の独立性が認められるためには、業務処理の資金が自己の責任で調達したものであること、業務の処理について法律に定められた請負人としての責任を負うこと、単に肉体的な労働力を提供するものではないことが必要です。

3、対応について

告示の詳細については、字数の関係からここでは割愛いたしますが、その内容はインターネットでも調べることができますし、東京労働局受給調整事業第二課でも相談に応じてくれます。また、厚生労働省が作成した労働者派遣・請負を行う事業主を対象とした「労働者派遣・請負を適正に行うために」というパンフレットには、上記告示が記載されているだけでなく、業務に応じた具体的な判断基準やQ&Aが記載されていますので、是非参考にしてください。

法人なかま 2010年8月号掲載