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経営者のための法律相談

第17回 偽装請負について

1、事業承継と相続

 株式会社の場合、株主総会で重要事項を決定するためには株主の3分の2以上の賛成を得る必要があり、このため、いわゆる「安定経営」を目指す場合には株式数においてこの比率を確保しておく必要があります。非公開の会社の場合、創業者などがご健在である状況下ではとくに問題は顕在化しませんが、次の世代への交代が生じた際などに法律事務所に相談に来られるケースが見受けられます。大半が、株式の名義借りなどを含め実質的な帰属の問題、ひいては会社への支配権取得の争いとなっています。このため、次の世代においても安定した会社経営を行うという点からみた場合、相続における株式の帰属という問題について十分な検討と対策をとっておく必要があります。
 今回は、上記について法律的な観点から留意すべき点についてお話しします。

2、明確な意思表示をすること

複数の相続人がおり、いずれもが対象となる会社経営乃至事業に関与しているという場合、大株主として、相続開始時における株式の分散を防ぎ、上記の比率を確保するためには、みずから後継者を指名するという観点で動かざるを得ません。次の世代が協議を行いうまくまとまれば良いのですが、やはりうまくいかないケースもあり、そのような場合についてどのようにすべきかということについては、事前に決めておくことが必要です。
 そのためには、自らの相続について遺言書を作成するか、生前に株式の譲渡を行う必要があります。ただ、双方とも税金の問題は生じますが、後者の場合とくに対価等の設定を適正にしておかなければ多額の税金が課税されかねませんので、税理士の先生とも十分に協議する必要はあります。もちろん、前者の場合でも、取得者に税金が賦課されますので同様にその対策は必要です。

また、遺言書作成にあたって、注意する必要があるのは

  1. いわゆる名義だけの株主がいないか
    設立時や増資時などに名前だけを借りて実際の出資は全くしていない「株主」がいないかどうかということで す。仮に、「贈与した」というのであれば別ですが、そうでない場合そのような方がおられる場合には、事前に株式 の名義を変更していただくか、最低限「いわゆる名義貸であること」を確認する書面を自筆でかつ実印(印鑑証明 書つき)でいただいておくべきです(その方に万一のことがあった場合、その方の相続人と株式の帰属について争 いになりかねません)。
    これは、後日の混乱や争いを防ぐためにも是非対応されておかれる必要があります。
  2. 株式の帰属だけについて決めることも可能
    遺言書を作成する場合、全ての財産について帰属等を決める必要はなく、株式の帰属だけは決めておきたいと いうことで、一部の財産についてだけ遺言書を作成することも法律上は許されています。ただし、その場合上記株 式を除いた残りの遺産について相続人全員で法定相続分どおりにわけるのか、それとも上記株式も含めた計算で 各相続人が法定相続分どおりに分けるのかという点については、遺言書の中で明確にしておかれた方が、争いが生 じません
法人なかま 2010年7月号掲載