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経営者のための法律相談

第16回 成年後見制度

1, 成年後見制度とは

 以前は禁治産・準禁治産などと呼ばれていたものが平成12年に改正され、現在では「成年後見制度」と呼ばれるようになっています。今回は、この成年後見制度について説明したいと思います。
 成年後見制度とは、知的障害や精神障害などで、本人に物事を判断する能力が十分でない場合に、その本人の権利を守る援助者を選ぶことで、本人を法律的に支援しようとする制度です。成年後見制度には、あらかじめ本人が契約によって決めておく「任意後見制度」と判断能力が不十分になってから家庭裁判所によって決められる「法定後見制度」があります。

2, 法定後見制度の種類

そして、法定後見制度には、「後見」「保佐」及び「補助」の3種類が定められています。

  1. 後見
    本人に判断能力が全くないといえる場合には、成年後見人が選任されます。成年後見人には、財産に関するすべての法律行為について代理権や取消権が与えられます。したがって、例えば本人が成年後見人に黙って売買契約を締結したとしても、その後に成年後見人がこの売買契約を取り消すことができ、本人の権利が守られることになります。
  2. 保佐
    本人の判断能力が全くないとまではいえない場合であっても、判断能力が著しく不十分だといえる場合には、保佐人が選任されることになります。保佐人は、成年後見人とは異なり、全ての法律行為が対象となるわけではありません。しかし、金銭の借入をしたり、不動産などの重要な財産の売買をするといった一定の重要な法律行為をすることについて、保佐人が同意権を持つことになり、その同意がないままされた法律行為は、取り消すことができるようになりました。
    また、裁判所が定める特定の法律行為については、保佐人に代理権が与えられる場合もあります。
  3. 補助
    保佐のように本人の判断能力が「著しく」不十分であるとまではいえない場合であっても、判断能力に不十分な点が認められる場合には、補助人が選任されることになります。補助人には、特定の一部の事項について同意権が与えられています。ただ、対象者の範囲が広く、あくまでも本人の保護のための手段を柔軟に選択できるようにとの趣旨から新設された制度であるため、本人が補助開始の申立に同意していることが要件とされています。

3, 成年後見制度の申立

成年後見を申し立てるには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出することになります。申立ができるのは、本人、配偶者や四親等内の親族などです。また申立時には、本人の判断能力の有無や程度を確認するために診断書や鑑定書などの提出が求められる場合があります。本人の状況などによっても異なりますので、詳しくは家庭裁判所や弁護士などにお尋ね下さい。
 家庭裁判所に申立がされますと、家庭裁判所調査官による事情聴取や意見照会などを経て、家事審判官(裁判官)の審判によって決定がされます。また、審判までの間に専門の医師による鑑定が必要となる場合もあります。
 そして、この審判によって後見人等が選任されることになります。

4, 任意後見制度について

以上は、法定後見制度についてお話してきましたが、裁判所の審判によるのではなく、本人の意思によって、将来の自分の生活や看護、財産管理などについてあらかじめ代理権を与える契約をしておくこともできます。これを任意後見契約といいます。
 任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって締結しなければなりません。
 任意後見契約では、自らの意思で後見人を選任することができますので、あらかじめ信頼できる方にお願いしておけば良いので安心です。

5, 成年後見登記制度について

後見開始の審判がされたときや、任意後見契約の公正証書が作成されますと、成年後見登記がなされます。そのため、成年後見人が本人に代わって財産を売買するときなどは、取引相手に対して、登記事項証明書を示して、その権限を明らかにすることが可能です。

法人なかま 2010年6月号掲載