本文へジャンプ

経営者のための法律相談

第15回 下請企業保護の法律(3)

2,規制の対象とされる取引

 下請法で適用対象取引は、「製造委託」、「修理委託」、「情報成果物作成委託」、「役務提供委託」の4種類の取引です。その取引内容はどのようなものかを説明しましょう。

(1)製造委託の類型
  1. 親事業者の工場部門として位置付けできる委託類型……親事業者が販売する商品の部品製造の委託、プライベートブランド商品の製造委託、出版社が販売する書籍の印刷の委託、販売する製品の金型の製造委託などがこの類型となる。
  2. 二次的な下請関係の類型……親事業者が請け負った部品の製造の下請事業者への委託、建築材製造業者の請け負った建築材の製造の委託、請け負った金属製品の製造に必要な金型製造の委託などがこの類型となる。
  3. 修理業者の委託類型……修理業者が修理に必要な部品又は原材料の製造委託がこの類型となる。
  4. 事業者が使用又は消費する物品等の製造委託類型……自社工場で使用する治具の製造委託
(2)修理委託の類型
  1. 親事業者が請け負う修理の全部又は一部の委託……自動車修理を請け負った自動車デーラーが、そのままその全ての修理を修理業者に委託する場合など
  2. 修理業者の使用するものの修理委託……自社工場で工作機械の修理を行っている場合にその修理の一部を委託する場合
(3)情報成果物作成委託の類型

情報成果物とは耳慣れない用語ですが、プログラムソフト、放送番組、デザインなどをいいます。

  1. 情報成果物の提供を業としている場合の成果物の作成委託……ゲームソフトのプログラムの作成委託、放送事業者の番組制作委託、電機製品の取扱い説明書の作成委託などです。
  2. 請け負った情報成果物の作成の委託……広告主から請け負ったテレビCM制作の委託、ソフト開発会社が他の開発会社にソフト開発委託する場合などです。①は作成した成果物その物を提供するというもので、ここでは、成果物を渡すものではなく、その制作を請け負うもの。
  3. 自ら使用する情報成果物の作成を業としている場合の作成委託……ソフト開発業者が自社で使用するソフトウエアの開発を他の開発業者に委託する場合などです。
(4)役務提供委託

提供される役務には何らの限定がありません。従って、役務提供と言える委託取引に適用されることとなります。例示すると次のようなものがあります。貨物運送の一部区間を他の運送業者に委託する、自動車整備業者が請け負った自動車整備(修理ではない。修理であれば修理委託)を他の整備業者に委託する、ビル管理会社が請け負ったメンテナンス業務を他のメンテナンス業者に委託する、ソフト開発会社がソフト開発後そのソフトのサポートサービスを請け負ったが、そのサービスを他の業者に委託するなどの場合を想定しています。

  1. 該当しない役務提供委託取引……この役務提供委託の場合は、事業者が自ら利用する役務を他の業者に委託する場合は含まれていないことに注意しなければなりません。例えば、ビルのオーナーがビルの清掃業務をメンテナンス業者に委託する取引、荷主が商品運送を運送業者に委託する取引、ホテル業者がベッドメイキングを業者に委託する取引はここでの規制対象とはなりません。
  2. 建設業下請取引の除外……建設工事の委託については、建設業法に下請業者保護の規定があることから除外されている。そこで、建設業法では、どのような規制がされているかを掲げておきますので、注意して下さい。
    • 不当に低い請負代金(原価に満たない代金)の禁止
    • 請負工事に必要な資材、機械等の不当な購入先指定の禁止
    • 当該工事代金受領後1月以内の下請代金支払い義務
    • 割引困難な手形交付の禁止
    • 遅延利息支払義務
    • 都道府県知事の公正取引委員会への措置請求
法人なかま 2010年5月号掲載