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経営者のための法律相談

第13回 下請企業保護の法律(1)

経済法の分野では、経済活動を活性化、公正に競争させることを目的として、独占禁止法を始めとする法律で多くの企業活動を規制しています。その中で、今回は下請代金遅延等防止法の概要をお話し、適正かつ適法な企業経営の一助として頂きたいと思います。

<下請代金遅延等防止法の必要性>

 下請取引の内容は、基本的には第三者からは分からないという現実があります。その下請会社と親事業者との間での取引内容は原則的には外に漏れないものでしょう。外に漏れない取引内容をいくら規制しようとしても実効性が上がらないと予想されることは当然です。更に、法律違反の行為が親事業者にあるために、その規制をして貰いたいとしてもその手立てがないという現実もあります。下請企業が、その規制を申し出たとすれば、その取引に関しては保護されるかもしれませんが、それ以外の将来的な取引に関しては取引先として対象にして貰えないのが現実だからです。独占禁止法上は、このような会社の力の差がある企業において取引方法を不公正なものとしてはいけないという規制を規定しています(19条)。しかし、そこで「不公正取引」という内容も決められていますが、下請との関係では、多くは「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること」(2条9項5号)に該当しなければ法律の発動がなされません。しかし、このような規定は、抽象的な規定であることから多くの不当な取引行為を包含できるものとなっている反面、「優越的地位の利用か否か」、「不当か否か」の判断要素があり、その要素を認定する判断機関とその機関における手続が必要となります。
このような判断要素を、なるべく除去し形式的なことだけで下請企業を保護しようとしたのが、下請代金等遅延防止法なのです。多くは形式的な判断で済むために、その違反も一目瞭然です。
今回は、その概要を説明し、後にその一つ一つの内容を説明できるようにしたいと思っています。

<親事業者の義務>

  1. 支払期日を定める義務(60日の期間内)
  2. 一定要件を記載した書面の交付義務
  3. 遅延利息の支払義務(公正取引委員会規則で年14.6%)
  4. 公正取引委員会規則で定める要素を記載した書類等の作成保管義務

<親事業者の禁止行為>

  1. 合理的理由のない債務の受領拒絶の禁止
  2. 下請代金の支払い遅延の禁止
  3. 合理的理由のない下請代金減額の禁止
  4. 合理的理由のない返品禁止
  5. 著しく低い下請代金を定めることの禁止
  6. 合理的な理由のない親事業者指定物・役務の強制購入禁止
  7. 報復措置の禁止
  8. 有償支給部品等の早期な代金支払の禁止
  9. 下請代金支払いに替えた割引困難な手形交付の禁止

<違反の罰則>

 親事業者法人の他、その行為者である個人も50万円以下の罰金となります。

<禁止行為に対する勧告措置>

 上記の禁止行為に対する措置としては、公正取引委員会が必要な措置を執ることができることとなっており、例示としてそれ ぞれの禁止行為を排除するための勧告をすることとなっています。法の規定形式としては、勧告するかしないかの判断をする必 要がなく、禁止行為があれば、勧告することとなっています。

法人なかま 2010年3月号掲載