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経営者のための法律相談

第10回 企業の倒産

企業経営者にとって、倒産という事態を避けたいことは当然ですが、その回避だけを考えることは、かえって債権者、従業員等関係者に与える迷惑を増大させてしまうということになりかねません。経営を継続可能な状況であれば、早い内に手続をとって、正常 です。
そこで、今回は日本の倒産関係の法的な処理方法について、概括的な説明をしておきたいと思います。
処理方法には、大雑把に2つの分け方があります。裁判所を利用するかしないかという分け方と、会社を存続させる方向で手続を取るのか清算だけを行う方向で手続を取るのかという分け方です。
裁判所を利用しない手続として「私的整理」があります。多くの私的整理は、弁護士が中心となり、倒産関係の法律に抵触しない範囲で企業の倒産状態から企業を甦らせるため、又は清算を早く行うために債権者の同意を得ながら行う手続です。法律にとらわれないで、債権者の同意がある限り合理的な方法と結論を早く導き出すことができる長所がある一方で、反対する債権者がいる場合には、この方法が採れないという短所があります。
裁判所の手続でも、近年弁護士が代理人をしていることを前提として、なるべく簡易で迅速な処理を心がけ、手続の長期化を防いでいます。

<企業を再建する方向の手続>

会社全体が事業続行ができない状態でも営業が黒字であるか、一部赤字部門を取り除けば会社全体として黒字に転換するような状況では、会社の再建ができます。実務においては、それ以上に会社の従業員と会社の仕事を残すために、スポンサー会社に会社ごと譲渡する、又はその事業のみを譲渡する場合などがよく利用されています。この手続は、会社の営業を停止せずに行う手続であるため、会社の営業を残しながら譲渡手続等ができるのです。

  1. 民事再生
    再生計画案という企業の再建計画について、債権者の過半数と総額の半分以上の債権者集会での同意と裁判所の認可決定により、その計画案における債権カット、その支払い方法等が決定される。この手続は、原則として経営者の変更はない。新会社法制定以前の商法で規定されていた会社整理手続は現在廃止されて、民事再生手続でカバーできると考えられています。
    この手続は、担保権者を拘束しないことが原則ですが、現実の手続では、担保権者との話し合いによりほとんど合理的な解決がされていますので、それほど心配することはないと思います。
  2. 会社更生
    この手続は、担保権者も従わなければいけないという意味では、強力な再建手続です。経営は管財人が行うため、経営者は退陣することが普通です。再建案である更生計画案は、更生債権の債権者の総額の過半数、更生担保権者議決権の総額の3分の2以上(案によっては、4分の3以上)の同意と裁判所による認可決定が必要となります。

<企業を清算する方向の手続>

  1. 破産
    会社の財産を全て金銭に換価し、その換価した財産を債権者平等に配当する手続です。破産管財人が破産会社の財産に関して処分する権能を持ちながら、清算行為をしていきます。
  2. 特別精算
    通常の清算行為ができない事情があるとき、債務超過になっているときなどに裁判所に申し立てし、裁判所の監督下で清算人を中心に清算業務を行っていく簡易迅速を目的とした手続です。監督委員が裁判所で選任され、裁判所の許可に代わる同意を行うのが通常です。事業譲渡なども株主総会の議決無しに裁判所の許可により実行することができます。協定債権者の過半数で議決権の総額の3分の2以上の賛成があれば、債権者集会での決議がなされ、それに裁判所の認可がなされれば、協定の効力が生じます。
法人なかま 2009年11月号掲載