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経営者のための法律相談

第1回 会社の法律相談は何のため?

抽象的には法人の業務執行を適正・適法に行うためです。多くの皆さんは、弁護士は紛争や裁判以外
では関係がないと考えています。我々弁護士も、紛争等の相談であれば、相談の前提条件としての事実とそれに対する法的問題も限定できるため、回答しやすいものです。しかし、紛争とならないための会社経営の適正・適法性を担保する法律相談の役割がより重要です。ただその効果を発揮するためには、担当弁護士の実務上の経験と当該相談企業をよく知っているかが重要な要素となります。当該企業を知っていれば、企業の行動を予想できますし、業務上の問題点を指摘することもできます。費用対効果の面での判断も必要です。多額な費用であれば対策しないことも選択肢です。

リストラ(人員削減)について

最近売上が極端に減少しているので経営が難しくなると予想しています。
そこで生き残り策として従業員をリストラ(人員削減)してでも人件費の削減をしたい。トラブルにならないように、気をつけるべき点を教えて下さい。

A 企業の固定経費削減策としては、人件費を将来的に減少できる人員削減は重要な要素です。しかし、従業員には従業員としての地位が法律上保護されています。通常考えられる人件費削減策は、希望退職者の募集、整理解雇、ワークシェア、賃金減額などが考えられます。そこで、これらについて何を気をつければよいのかを、説明をしたいと思います。
大きな分かれ目は、人員削減をするのかどうかです。人員削減をしない方法とは、ワークシェアと賃金減額です。賃金減額は、直接的に人件費削減をしなければならない合計額までに減額することができるかが問題となります。ワークシェアは、方法論は多様ですが、休日を増やしたり、労働時間を短くしたりして、労働時間と賃金との関係は大幅には変えないように努力し、給与額の減額もセットにする考え方です。例えば、今まで週に40時間労働して月額給与36万円の従業員を、30時間で27万円にするというものです。この様な方法は、人員削減をしないことが従業員全員の生活を守ることになるため、給与減額を我慢するものです。基本的には、給与減額、労働時間の変更は、従業員との関係を規定する就業規則の変更です。そのため、従業員団体や組合との協議を経た上で、その了解が前提となります。労働条件の不利益変更ですから独断では無効となると考えてください。
希望退職者の募集は、一つの人員削減策です。その言葉通り、従業員の任意に委ねられたものです。通常は、これは、退職金額上乗制度を採用することが多い。
以上の方策は、全て従業員の同意又は従業員団体の同意を必要としますので従業員の反対があれば不可能です。その意味では、穏当な方法です。しかし、会社の危機的状況の中で同意を得られない場合は、従業員の了解なく人件費の削減方法として整理解雇をせざるをえないでしょう。これは、経営者が一方的に特定の従業員を解雇するという方法です。一方的なために従業員に大きな不利益となります。そこで、この整理解雇を無制限に許すのではなく、整理解雇が有効である条件として裁判例では次の4つを要素としてきましたので、良く検討して下さい。

  • 人員削減の必要性。
  • 整理解雇を選択することの必要性(他の方法では、人件費の削減ができないなど)。
  • 解雇する従業員の選定の基準の作成とその妥当性(客観的で合理的な基準として欠勤日数、遅刻回数、規律違反 歴、勤務年数などが考えられる)。
  • その手続の妥当性((1)、(2)、(3)についての十分なる説明、選定された者に対する上乗せ退職金制度など)。

この様に誠実な企業の対応が企業を防衛することとなるのだと理解下さい。

法人なかま 2009年2月号掲載